作業環境測定機関 労働安全衛生コンサルタント事務所 専門家による石綿分析

アスベスト・リスクコミュニケーション・プロジェクト
アスベストを知るワークショップ

 
 9月30日、東京都江東区亀戸で「アスベストを知るワークショップ」が開催されました。今年から地球環境基金の助成金を受けて始まったアスベスト・リスクコミュニケーション・プロジェクトの一環として、アスベストの特徴と危険性を伝える一般向けの企画として行われました。アスベストは現実の大きな被害を発生させている発がん物質であり、建材に大量に使用されたために今でも身の回りに残されています。石綿含有建材を特定することは、リスクを把握する上で重要だが、建材等にアスベストが入っているかどうかの分析(定性分析)は通常は分析の技術者が行い、高価です。しかし石綿含有率が高い建材は、目視でも石綿繊維が確認できるものもあります。安価で簡単な方法で石綿を特定することによって、労働者、建物使用者、住民がリスクを知ることができ、関心を高め対策を向上させることが期待されます。アスベスト・リスクコミュニケーション・プロジェクトでは、最近性能の向上が著しいスマートフォンと安価な顕微鏡アタッチメントを使用して、アスベストを観察するワークショップを開催しました。
 ワークショップでは、飯田事務局長のあいさつの後事務局員の外山がアスベストの特徴と被害、リスクの特徴について講演し、武蔵大学社会学部の永田浩三教授のゼミで制作したアスベスト被害を追ったドキュメント映画「埋もれた時限爆弾」を上映しました。映画では、クボタショックから10年を経て、今なお増え続けている石綿の被害者を埼玉の旧石綿製品工場の労働者周辺で掘り起こす過程を記録したもので、「地方の時代映像祭」の市民・学生・自治体部門特別賞を受賞しています。
 ワークショップ1は愛知教育大学の榊原洋子先生が考案したスマートフォン顕微鏡を使用したアスベストの観察です。観察装置は、スマートフォン顕微鏡(学研「スマホDe顕微鏡」)を使用し、偏光板※で試料をはさむようにして観察します。観察試料は、石綿含有建材から取り出したアスベスト繊維をスライドグラスに透明な接着剤で固定したものです。3,000円ほどで作成できます。偏光板を使用することがポイントで、アスベスト等の結晶構造を持つ物質は直交する偏光板で挟み透過光で観察することによって構造を観察することが容易になり、逆に石綿ではないロックールなどの結晶構造をもたない物質は見えにくくなります。こうすることによりアスベストの特徴である微細な繊維構造(石綿様構造)と他の繊維を区別することができます。偏光顕微鏡は1970年代から世界中で石綿分析に広く使用されています。参加者の皆さんも自分のスマーフォンに石綿の繊維が映し出され、写真を撮ることができました。 
 ワークショップ2では、東日本大震災でアスベストマッピングを実際に亀戸の町で行いました。20分ほど町を歩くと5ヶ所でアスベスト含有の疑いのある波板スレートなどの建材が発見されました。
 アスベスト・リスクコミュニケーション・プロジェクトでは、この企画を全国で開催する予定です。皆さんの地元での開催を希望される方は是非お知らせください。
 
写真1:スマーフォン顕微鏡で観察する参加者


写真2:スマーフォン顕微鏡で観るアスベスト