吹付けロックウール クリソタイル含有
施工年 不明
施工場所 耐火被覆
実体顕微鏡写真30倍
ほとんどがロックウール繊維だが、よく観るとロックウールとは異なるカールした繊維が観られるのでそれをピックアップする。
偏光顕微鏡(クロスニコル+鋭敏色板、100倍)
岩綿繊維は透明に見え、クリソタイルは発色する。
写真左は右上-左下の向きの繊維が青色に見える。写真右は同じ繊維を逆方向にしており赤に見える。伸長の正負は正を示す。
偏光顕微鏡(クロスニコル+鋭敏色板、400倍)
上と同じ繊維を400倍で観察すると繊維状の構造(Asbestiform)がよく見える。
偏光顕微鏡(クロスニコル、100倍)
クロスニコルでは形態と消光角を観察できる。中央横向きの繊維はステージを回転させると水平の位置で消え、直消光を示す。
偏光顕微鏡(分散染色、100倍)
浸液の屈折率1.550で分散色を観察する。浸液の屈折率1.550 100倍 偏光顕微鏡で観察した繊維を同じものを観ている。先ほどの繊維は屈折率1.550に近いことがわかり、これによりクリソタイルであると同定できる。偏光顕微鏡も分散染色法を利用するのだが、いわば最後の決め手的に使用し、繊維を探すときには偏光(直交ニコル+鋭敏色板)を使用する。分散染色法はロックウールなど石綿以外の粒子が輝いてしまい分散色を示す繊維はみえにくい。
この試料は石綿含有率1%以下と思われる。位相差分散顕微鏡のみの観察ではクリソタイル繊維を見つけることは難しく、エックス線回折分析法のチャートも未処理の粉末試料では石綿の可能性のあるピークの確認は難しい。偏光顕微鏡ならば容易にクリソタイル繊維を確認できる。エックス線回折分析法と位相差分散顕微鏡を使用するJIS法でも、ギ酸処理した試料を使えばクリソタイルを定性できると思われる。