ケイ酸カルシウム板 クリソタイル含有
施工年 1987年
施工場所 住宅軒天
ケイ酸カルシウム板は2004年の製品まで石綿を含有していた。古いもので含有率が高い製品の分析は容易だが、含有率が低いものは難しいものがある。セルロースと鉱物性の成分が顕微鏡観察を妨害する。電気炉で灰化し、2モル塩酸で溶解し、ろ紙に吸引濾過した試料から観察試料を作成すれば良いが、簡易なスクリーニング方法がある。
実体顕微鏡写真30倍
実体顕微鏡30倍
簡易灰化酸処理
スライドグラス上で試料をライターかバーナーで焼く。
2モル塩酸を試料に滴下し、ピンセットで解す。
カバーグラスをかぶせて観察する。
偏光顕微鏡(直交ニコル+鋭敏色板、100倍)
左が未処理の試料で、セルロースと鉱物性の粒子が妨害して石綿の観察が難しいが、右の処理試料はそれらが消えて、中央にクリソタイルが確認できる。
偏光顕微鏡(クロスニコル、100倍)
偏光顕微鏡(クロスニコル、400倍)
石綿様形態(アスベスティフォーム)が観察できる。簡易灰化酸処理の利点は、一度に多くの試料を効率良く観察できる点で、数試料観察して石綿様形態が観られなければ石綿含有なしと確信を持って判断できる。処理試料で含有ありの場合は未処理試料で分散色を確認する必要があるが、石綿含有ありとの見込みがあれば判定はより確実で容易となる。